撮りためた旅行や家族の写真データを、ずっと消えずに保存できる方法はないだろうか?
できれば、一度保存したら、一生涯メンテナンスなしで保存し続けられる方法、ないかなぁ?
そんな風に思っておられるなら、本記事で紹介するM-DISCは、まさにそのための記憶装置です!
本記事では、データ寿命が100~1000年といわれる記憶媒体 M-DISC について、詳しく紹介します。
M-DISCでのデータ保存の原理、従来メディアとの比較、M-DISCへデータを保存するために何を揃える必要があるのか、ドライブとディスクの購入費用がいくらくらいになるのか、そして書き込み手順を、詳しくレビューします。
私自身が 使用してみての感想、使い勝手、手間暇も紹介します。
溜まってしまった数百GB程度の大切なデータを、どのように保存するのがよいだろうか?
家族の生活や子供の成長の写真はいつの間にか大量に溜まるものだ。
わが家でも、子供が生まれて以来の10年で、500GB以上の写真を撮りためてきた。
できれば一生消えない永久保存の形でバックアップを残しておきたい。
ハードディスクなど10年くらいでデータが消失してしまう記憶装置では、やっぱり心もとない。
一生涯の長きにわたるデータ保存を叶えてくれるメディアが M-DISC である。
しかも、1枚のディスクで100GBまで記録できる。
ここでは、M-DISCとは何か、使用するために揃えるべき機材やその購入予算、使い勝手を議論し、この長期保存メディアを紹介する。
また、我が家で実際に使用してみた感想も紹介する。
データの記憶媒体といえば、DVDやブルーレイなどの光ディスク、ハードディスク(HDDとも表記される)、SSDやUSBのフラッシュメモリなどを思い浮かべる方が多いと思う。
それぞれのデータ寿命は次のとおりである。
従来のデータ保存用メディアのデータ寿命はだいたい10年程度。
一生安心してデータを保管することはできない。
もっと昔の写真の保存方法はもちろん、現像したネガや、ネガから紙にプリントした写真であった。
そうした写真は何十年かすると黄ばんだり、すこし不鮮明になることはあったけれど、基本的に一生大切に持ち続けることができた。
もちろん現在でも、デジカメ写真をプリントしたり、フォトブックに編集して残すことは可能だ。
長期保存も可能な優れた、おすすめの保存方法といえる。(興味があったら、こちらもぜひどうぞ:おすすめフォトブックサービスの紹介記事)
ただし、大量に撮り溜めたデジカメデータを全部まとめて保存するには、プリント保存は向かない。プリントの手間、コスト、印刷物を保管するスペース、どれをとっても現実的でない。
この数年で、クラウドにデータを保存することが一般化し、大変便利になった。
icloud、Google Drive、マイクロソフトOne Drive、...。
こうしたクラウドにデータをバックアップしておくことは、便利な選択肢だと言える。
ただし、大量の写真データをアップロードできるためには、利用料が発生する。
次の表に、2021年6月時点の各クラウドサービスの年間利用料をまとめる。多くのサービスは、月額料金が表示されているが、その場合には月額利用料に12を掛けた数字で表示する。
50 GB | 100 GB | 200 GB | 250 GB | 1 TB | 2 TB | 無制限 | |
icloud | 1,560 | 4,800 | 15,600 | ||||
Google One | 3,000 | 3,800 | 13,000 | ||||
MS OneDrive(家庭向け) | 2,748 | 12,984 | |||||
Amazon Drive | 3,000 | 15,600 | 31,200 | ||||
DropBox(個人用) | 14,400 | ||||||
PicStorage | 4800 | 11,760 | 36,000 |
ちょっと脱線するが、カメラのキタムラが運営するPicStorageでは、ストレージ容量を無制限に使用できるプランが月額3000円で用意している。たくさん動画を撮る方などには便利かもしれない。
広告:写真データに話を戻す。
わが家では、子供が生まれてから10年ほどで、すでに500GBを超える写真データがある。
これを丸ごとクラウド保存するには、毎年1万円以上の維持費がかかる計算である。
動画をときどき撮る家庭では、データ量はもっと大きいであろう。
相応の大容量の契約プランもあるのかもしれないが、一般ユーザー向けのプラン一覧では2TBまでの記述しか見当たらなかった。
もちろん、自分で管理するわけでないため、次の可能性も考慮に入れながら利用する必要がある。
クラウドは、スマホからでもPCからでも写真が見れて便利であるから、バックアップはM-DISCに保存しておいて、ごく気に入った写真だけクラウドにアップロードするというのが私の個人的なオススメである。
M-DISCは、2009年に、アメリカのMillenniata社が開発した長寿命光ディスクである。長所は、圧倒的に長いデータ寿命と耐久性だ。
M-DISCは”Millenial Disc”の略で、直訳すれば「寿命千年のディスク」という意味である。
M-DISCのデータ寿命は100年以上。
メーカーによっては1000年以上の寿命があると言っている場合もある。
光ディスクと違い、耐光性、耐熱性、耐湿性に優れる。
火事になってしまったらさすがに故障してしまうのだろうが、普通の家の中の環境でなら、一生涯の長きにわたって、データを保管することができる。
見た目は、普通の光ディスクと同じである。
次の写真の、右が普通のブルーレイ・ディスク、左がM-DISCであるが、見分けが付かない。
M-DISCは、光ディスクと互換性良く設計されている。
M-DISCにデータを書きこむことだけは専用のドライブが必要だが、一旦書きこんでしまえば、普通の光ディスクドライブでデータを読むことができる。
光ディスクと同じように、さまざまなデータ容量のM-DISCが生産されている。
そして、CDR、DVD、BD(ブルーレイ)という風に、データ容量にしたがって、光ディスクと同じ呼称で呼ばれる。
DVDやブルーレイでは、ディスクの表面にレーザーを当て、反射してくる光の状態を読み取ってデータを読み出す。
ディスクを書きこむときには、ディスク上に光を反射しやすい領域と、反射しにくい領域を作ることで、データを表現している。
こんなものか、というイメージを持って貰うために、非常に簡単化して解説した。
もっと詳しい説明を知りたい方は、メーカー等のページでしっかり読んでみてください。
必要なのは、次の3点である。
ドライブは最大4.7GBまでのディスクだけ書けるDVDドライブも販売されているが、時流に合わなくなっているのでここでは紹介しない。。
ブルーレイなら一枚で100GBを書き込めるディスクも販売されている。
M-DISCを書きこむことができると明記されているドライブを買うことだけ、注意してドライブの機種を選定する。
いったん書きこんでしまえば、普通の光ディスク・ドライブでもデータを読むことができる。
以下で、値段は2023年11月13日の楽天市場での最安値を記した。値動きする場合があるので、目安として参考にしてほしい。
なお、画像をクリックすると楽天の値段比較に移動する。
M-DISCを書きこめるブルーレイ・ドライブは、7,840円(送料無料)くらいから。
次のものは、最も安価な部類のM-DISC対応BDドライブだ。
私が購入したものでもある。実際に100GBのブルーレイ・ディスクをしっかり書きこむことができた。
(ちなみに2019年夏に購入したときは9,000円くらいだったから、すこし値下がりしている。)
Verbatimは2021年11月からM-DISCの新製品を発売しています。
従来製品と比べて、光、熱、湿度に対する耐久性が増しています(参考:verbatim商品紹介ページ。IO-DATAはVerbatimの国内販売総代理店。)。
BD-R 100GB x 5枚組 : 5,980円(送料無料)~。
BD-R 50GB x 5枚組 : 3,335円(送料無料)~。
BD-R 25GB x 5枚組 : 2,149円(送料無料)~。
USB接続できるM-DISC対応ドライブであれば、Windows 10パソコンからM-DISCに書き込む手順は、以下の通り。
以上で、M-DISCへの書き込みが開始する。あとは、書き込みが完了するまで待つだけ。
大容量を書き込むには、かなりの時間がかかる。どのくらい待つかは、次節も参考にしてもらえればと思います。
Windows 10がドライブを自動認識しない場合は、自分でドライバをインストールする必要がある。
私は他のOSを使用したことがないので、iOSや他のOSを利用の方は、ご自分で調べてください(スミマセン…)。
わが家で使用したドライブとメディアの組み合わせは以下:
Windows 10でやってみたが、単刀直入に言うと大変簡単である。
ただし、100GBを書きこむには、何時間も(5時間かそれくらい)かかった。
それでデータの安心が得られると思えば、安いものだと思う。
私は、これまで撮り溜めたデジカメのデータが、最近500GBほどになった。
これまでは、1TBのハードディスク2個にバックアップを取っていた。
一旦バックアップしてしまうと、ときどきハードディスクが壊れていないかチェックなど、ズボラな私は面倒でしない。
複数バックアップがあるといっても、そのうちに故障するのがわかっているハードディスクに保管しているのがいつも不安であった。
M-DISCのことを知り、さっそく購入した。
2019年夏の購入時で、ドライブ9000円ほど。
BD 100GB x5枚組が5000円ちょっとだった。
合計15,000円より少ない予算で必要品が揃った。
Windows10のPCに繋ぐと、ドライブは勝手に認識されたので、とくに難しい設定もなかった。
データを80GB程度ずつ、5枚のM-DISCに焼いた。
通常のDVDやBDと同じように、ウィンドウズ・エクスプローラでディレクトリを、書きこみドライブへドラッグするだけで、書きこみが開始した。
Windows 10でやる限り、書きこみの手順は超簡単である。
iOSやほかの環境でどうなのかは試していないので、私には何とも言えないが、たぶん同様に簡単なのだろう。
ただし、書き込みは時間がかかる。
私の購入したドライブは、書き込み速度のカタログ値が6倍速となっていたが、M-DISC(メディア)の方が最大書き込み速度が4倍速であった。
書きこむデータ量が100GBと大きいので、夜書き込みを開始してから寝て、朝起きると終わっていた感じ。
正確に測っていないのだが、日中に書きこんでみたときの感じでは、100GBを5時間くらいかかって書きこんでいたようだった。
とはいえ、一枚のブルーレイで100GBのデータが、ほぼ永久保存で保管できるのは、大変な安心である。
最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。
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