ハロウィンには、カボチャを彫って顔を作り、灯をともしてランタンにする風習があります。そうして作ったカボチャ頭を「ジャック・オー・ランタン Jack O’ Lantern」と呼びます。
もちろん、顔だけでなくて、好きな絵柄を彫ってもよく、とても楽しい季節の遊びです。
パンプキン・カーヴィング(ハロウィンのカボチャ彫り)を楽しむために必要な買い物と、彫り方について、紹介、解説します。
実際にハロウィンにカボチャ彫りをした際の写真を多く紹介しながら書いているので、やってみたい方に参考になれば幸いです!
はじめに―ハロウィンやジャック・オー・ランタンについての紹介
買い物や造り方の、実際的な解説の前に、少し脱線してハロウィンについて紹介してみたいと思います。
ハロウィンの由来
ここ5年ほどでしょうか、渋谷で仮装した人たちがたくさん集まって盛り上がっているというニュースを聞くようになり、日本でもハロウィンのことが知られるようになりました。
ハロウィンというのはもともと、キリスト教が広まる前のケルト人の行事でした。ケルトというのは、フランスの北西部あたりを中心に居住した民族です。ケルト地方には、10月末のハロウィンの時期には冥界と現世の間の門が開き、死者や魔物が徘徊したりするという言い伝えがありました。
人間だとわかると魔物に悪さをされるので、魔物に仲間だと思ってもらうために、モンスターに仮装するというのが、ハロウィン仮装の発端です。
カボチャの灯明、ジャック・オー・ランタンの由来
ハロウィンに作るカボチャ頭のランタンは、ジャック・オー・ランタン (Jack O’ Lantern) と呼ばれます。 ジャック・オー・ランタンの伝説は次のものです。
昔、ジャックという悪党がいました。
悪魔を騙し、死んでも魂を取られないように悪魔から約束を取り付けました。おかげで、生きている間は安心して悪いことをたくさんしました。
そんなジャックも、寿命が尽きる日が来ました。
もちろん、天国には行けません。でも、約束があるので、悪魔はジャックを地獄に連れていくことができなかったのです。
結局、ジャックの魂は、永遠に現世の暗闇をさまようことになりました。
ジャックはあんまり暗いので、悪魔に頼んで灯りになる小さな炎をもらいました。そして、炎が消えないように道端に生えていたカブの実をくりぬいて、炎を入れて持ち歩いているのです。
このジャック・オー・ランタンの伝説がアメリカに渡るときに、話の中のカブがカボチャに置き換わってしまったのだとか。
カボチャを彫ってランタンに作る遊びの由来は、この悪党ジャックの伝説です。
英語でカボチャはパンプキン (pumpkin)、彫刻することはカーヴィング (carving)です。カボチャ彫りはパンプキン・カーヴィング (pumpkin carving) と呼びます。
ハロウィンを祝う地域
ハロウィンはキリスト教の伝説ではありません。厳格なカソリックの国々では禁止されていたのでしょう、祝う習慣は残っていません。
ケルトというと、もともとはフランスの北西部にも文化が広がっていたのでしょうけれど、その後カソリック国になったフランスでも、ハロウィンの風習は残らなかったようです。
そういうわけでハロウィンは、イギリスやアイルランド、そしてイギリスの植民地だったアメリカ合衆国など、西欧諸国の一部でだけ祝われるイベントになっています。
パンプキン・カーヴィング(カボチャ彫り)の必要品の買い物
カボチャの種類
カボチャといっても、日本で普通に売っているカボチャは固くて彫れません。実が柔らかいカーヴィング用の品種を購入する必要があります。
カーヴィング用の品種は、オレンジで直径25-30㎝ほどの、巨大なカボチャです。この品種のカボチャは、残念ながら、食べてもおいしくないとのことです。
ハロウィンは10月末です。9~10月に、楽天で「ハロウィン かぼちゃ 観賞用」とか、「カービング パンプキン」と検索すると見つかると思います。
配送に時間がかかる業者も多いようですから、すこし早めに注文するとよいです。カボチャ自体は、彫る前の状態なら、2~3週間は悪くならずにもちます。
日本ではパンプキン・カーヴィングはまだあまりポピュラーでないです。ですので、カボチャは思いのほか高価ですし、販売店もまだ少ないようです。
おすすめなカボチャ購入先
わが家では2020年のカボチャは、2玉で3,800円のカボチャを購入しました。「傷あり」と表示があるものの、表面に一部ゆがみがあるカボチャだっただけで、ゆがみがない側を選んで彫れば、問題なく使えました。楽天で探したうちでは最も安かった部類で、大変満足なカボチャでした。
残念なことに、去年・今年は、カボチャの値段がだいぶ高くなってしまいました。2020年に買ったカボチャも、(2021年に不作で販売しなかったあとで)2022年の今年は6000円台に値上がりしています。それでも、カボチャの大きさを考えると、他のお店と比べると大幅に安いと思います。
カーヴィング・キットのセット
カボチャを彫るための道具一式は、楽天で「パンプキン カーヴィング キット」などと検索します。
内容的には、以下のものが入っています。
- カボチャの内壁を削るためのヘラ(次の写真の緑の、しゃもじを小さくしたような道具)
- 鋸刃の付いた2㎜幅くらいの細い彫刻刀(セットに2-3本入っている場合が多い。写真の右端の2本)
- 台紙からカボチャの表面に絵を写すためのポンチ(写真の真ん中下の緑の道具です)
だいたい子供っぽいパッケージで売っているようです。
光源(ランプまたはロウソク)
出来上がったランタンに入れるランプまたはロウソクは、外径7-8㎝くらいで光が広がるものがよいです。作成するランタンの個数分必要です。
わが家では、100均ショップで以下のLEDランプを購入しました。
パンプキン・カーヴィングの手順―ステップ・バイ・ステップ
ここからは、写真入りでステップ・バイ・ステップに手順を紹介します。
インターネットで見つけた絵柄を彫る場合を解説します。カボチャの表面に自分で絵を描き、シンプルに顔を彫るだけの場合は、いくつかのステップを省くだけなので、このまま参考になると思います。
0.床にシートを敷く
部屋が汚れないように、床にレジャーシートなど敷くとよいです。
服も汚れるので、汚れてもよい服装に着替えましょう。
1.彫りたい絵柄を探して印刷する(自分で顔を描く場合は省略)
グーグルで”pumpkin carving templates”と検索すると、カボチャに彫る用に描かれた絵を集めたサイトがたくさんヒットします。気に入った絵柄をダウンロードして、印刷して台紙にします。
カボチャの大きさによりますが、A4くらいに印刷するとちょうどよいと思います。
2.カボチャの天辺に穴をあける
カボチャのヘタの周りを、彫刻刀で直径15㎝くらいの円形にくりぬく。
外れた部分は、あとで蓋として使用するので、残しておく。
3.カボチャの内壁をヘラで削って整える
カボチャの内壁は、繊毛がたくさん出ています。そのままだと彫りにくいので、ヘラを使って内壁を整えます。
以下右の写真のように、細長い繊維がボロボロと取れます。取れた繊維は外に出して捨てます。
4.セロテープで台紙をカボチャの表面に張り付けて固定する(自分で顔を描く場合は省略)
5.絵をポンチでつつきながら、カボチャの表面に写していく(自分で顔を描く場合は省略)
絵の線上で、数㎜おきにポンチで点をうっていく。
6.一通りポンチし終わったら、紙をはがす(自分で顔を描く場合は省略)
ポンチで打った点が見えにくい場合は、小麦粉を刷り込むと点が見やすくなる。
7.カボチャ表面にマジックで絵を復元する(自分で顔を描く場合は、絵を描く)
ポンチで打った点を頼りに、カボチャ表面に絵を復元する。(次の写真は、彫刻をはじめてしまったところですが、こんな感じにカボチャ表面に絵が描けていればよいです)
8.絵に沿って、彫刻刀で彫刻をしていく
コツは、真ん中の細かい部分から彫ること。大きな穴を先に開けてしまうと、あとで細かい穴をあけるときに表面の強度が足りなくなってしまいます。
彫っている途中に出来具合をチェックするときは、電気スタンドや懐中電灯でカボチャの内部を照らすとよいです。
9.中に光を入れれば、完成!
本来はロウソクを入れ、蓋を閉めます。ロウソクが消えてしまう場合は、彫刻と反対側に空気穴を空けます。火事が心配なので、わが家では100円ショップで買ってきたすこし光が広がりそうなLEDランプを入れてます。
光が漏れ出てくるのがとても美しいので、実はデザインとか彫るときの多少の失敗はあまり関係なく、とても綺麗です。
わが家のカーヴィングの様子
2020年ハロウィン
2020年のハロウィンは10月31日(土曜日)でした。
わが家では、ハロウィン直前の木曜日にカーヴィングしました。
この日は夫もお休みを取り、小学4年生の息子が、3時ごろに学校から帰って来るのを待っての作業開始。家族全員で一緒に工作するなんて、あまりないことなので、とても楽しかったです。
とくに息子は、はじめてのパンプキン・カーヴィング体験で、彫るのも面白かったし、それ以上に灯が入ったときは大興奮でした。
夫が作った小さなカボチャは、オレンジ色で柔らかいカボチャがスーパーで売っていたのを買ってきたもの。すこし品種が違ったようですが、問題なく彫れました。
2021年ハロウィン
2021年はハロウィン用のカボチャが不作だったとのことで、ネットで探すのに少し苦労しました。
例年より少し小ぶりで、20~25㎝くらいのカボチャと、もっと小さい15㎝くらいのカボチャも3つ購入しました。
10月27日(水)に彫りました。
家族で3つ彫ったところで疲れてしまい、小さいカボチャのうち2つは余らせてしまったのですが…。
今年は暖かだったため、27日に彫ったカボチャは、10月31日(日)のハロウィンにはしおれてしまっていました。
もったいないのもあって、31日に余っていたカボチャも彫ったので、カービング三昧を楽しめました。
まとめ
ハロウィンのパンプキン・カーヴィングに必要なものを、購入のしかたも含めて、紹介しました。
- カーヴィング用の品種のカボチャ
- パンプキン・カーヴィングのツール・キット (ヘラ、彫刻刀、ポンチ)
- ランプまたはロウソク
パンプキン・カーヴィングの手順を、ステップ・バイ・ステップで写真入りで解説しました。
ハロウィンに、パンプキン・カーヴィングをぜひいかがですか? 家族でとても楽しめること間違いなしです!
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