インデックス投資は、経済の発展とともに資産を増やす堅実な投資法です。
でも、日本では日経平均とTOPIX、アメリカではS&P500、NASDAQ、ダウ平均と、インデックスがたくさんあります。最近では、オルカン(オール・カントリー、全世界各国の株に分散投資)に投資するのもよいとも聞きます。
どれに投資するのがよいか迷ってしまいますよね。
本記事では、日米と全世界のインデックスの過去のパフォーマンスを、いろいろなタイムスケールで比較します。
過去のパフォーマンスが将来もずっと続くわけではないけれど、どのインデックスに投資するかを考えるヒントになればと思います。
本記事で比較するインデックス
日、米、オルカンのインデックスを解説
日本のインデックスは日経平均とTOPIXです。
日経平均は225社の株価を平均して計算されるのに対して、TOPIXは2000以上の銘柄の加重平均で算出します。日経平均は日本のもっとも大きい大企業の平均、TOPIXはもうすこし規模の小さい企業まで裾野を広げて計算されるインデックスです。日経平均のほうが歴史が長いので有名ですが、TOPIXのほうが日本経済全体の状況を反映するとの声も高いです。
アメリカでも、ダウ工業指数は大企業30の平均、S&P500は500社の加重平均です。S&P500がアメリカ経済の状況をもっとも反映するインデックスと言われます。
NASDAQ指数は、ハイテク企業を多く含む100社の加重平均で計算されます。S&P500と比べても、NASDAQはハイテク産業の景況を反映します。逆に、ダウ工業指数は歴史の長い産業の景況を反映します。
全世界の株式指数としては、本記事ではMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が計算しているACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)とEEM(エマージング・マーケット、Eが2つある理由は不明)を取り上げます。MSCI ACWIは、いわゆるオルカンに相当するインデックスです。
ACWIは先進国23カ国と新興国23カ国の大中の2000以上の企業で構成されています。EEMは新興23か国の大中800社で構成されています。
本記事で扱うインデックスの歴史と推移
本記事では、以下の7種類のインデックスの過去のパフォーマンスを比較します。
インデックス | グラフ上の表示 | 線色 | 国 |
日経平均 | NI225 | 赤と緑のロウソク | 日本 |
TOPIX | TOPIX | オレンジ | 日本 |
S&P500 | SPX | 水色 | 米 |
NASDAQ | NDQ | 黄色 | 米 |
ダウ平均 | DJI | 紺 | 米 |
MSCI ACWI | ACWI | 紫 | オルカン |
MSCI EMERGING | EEM | 緑 | 新興国 |
これら指標の過去の推移を、次のグラフに示します。期間の終わりは、グラフ作成時の2024年3月15日までです。
TOPIXとNASDAQは1980年代後半から、MSCI ACWI(All Country World Index)とEmerging Markets Indexは、2000年代後半からしかデータがありません。
本記事では、日本のインデックスはすべて円ベース、他はすべてドルベースの価格です。(日経平均やTOPIXをドルベースで表示すると、バブル以来の史上最高値の更新はまだまだです。だいぶ様相が違って見えるかもしれませんね。)
本記事のグラフは、すべてTradingViewで作成しました。
さまざまなタイムスケールでのインデックス推移
ここからは、さまざまなタイムスケールでインデックスをプロットし、長短期でのインデックスの変化を比較します。
縦軸は、起点に取った日付での価格からの変動をパーセントで表示します。
2024年年始からの推移
- 2024年年初からの2か月半は日経平均のパフォーマンスが素晴らしく、+16%も値上がりしています。この期間に日経平均は、史上最高値更新と40,000円の大台突破を記録しました。
- 同じ日本でも、TOPIXは史上最高値更新までもう少し。日経平均のほうがパフォーマンスが良いのは、半導体株の比重が高いのと、大型株がより買われているということでしょう。
- 同じ過去2か月半では、S&P500とNASDAQも史上最高値を更新しました。
- オルカンも、S&P500よりすこし弱いものの、順調に伸びています。
2020年からの推移
コロナ感染症のパンデミックの直前の2020年1月1日以来のインデックスの推移です。
- NASDAQがコロナ相場での好調、2022年の下落を経て、再び好調に推移しています。コロナ前と比べて、NASDAQは2倍ほどに値上がりしています。
- コロナ相場の中で、日本株は米国株より出遅れている印象が強かったですが、2022年の米国株下落の間に追いついた感じです。
- オルカンは、日米の株価より成長が遅く、アメリカのダウ指数と同程度の伸び。
- 新興国インデックスはコロナからいったん回復した後で、2022年ごろから下落し低迷しています。
2010年からの推移
2010年は、米国株はリーマンショックから回復を始めたころ。日本株はもうすこし低迷を続けていた(アベノミクスは2013年年初から)ころです。このことは「本記事で比較するインデックス」節で見せたグラフだと確認しやすいです。
- 2010年以来の14年間は、アベノミクスがあった日本株と比べても米国株は強かった。
- NASDAQは、14年で10倍(!!)という驚異的なパフォーマンスを示しました。
- 新興国は、2010年代からは日米と比べてパフォーマンスが劣後しています。
- オルカンは、パフォーマンスが悪かった新興国も構成に入っている分、日米に劣後する結果です。
1990年以来の推移
1990年は、日本のバブルが崩壊したばかりのころです。
- 日本の株価は、34年かけてやっと1989年につけた最高値と同じレベルに戻りました。米国のインデックスの変化と比べると、完全に地面を這ってしまっています。日本経済が過去30年ほど停滞を続けたこと、知っていたこととはいえ悲しいです。。。
- 34年間で、S&P500は15倍、NASDAQは88倍(!!)に成長しました。
- NASDAQは、2000年のドットコム・バブル崩壊、2008年のリーマン・ショック、2022年のインフレ対策の金利上昇政策にともなう3回の大きな下落があった。そのため値動きが激しかったものの、ダントツのパフォーマンスを収めた。
オルカンと新興国のインデックスはデータがないのでこのグラフからは省きました。
1950年以来の推移
TOPIXとNASDAQもデータがないので、このグラフからは省いています。
- 1960~80年代の日本の高度成長の目覚ましさ、それに続く低迷。
- 米国は、コンスタントに成長を続けてます。
騰落率を表にまとめる
騰落率=該当期間中に株価が何%上昇したか、です。株価が2倍になった場合は+100%なので、騰落率は100%です。
グラフ中の数字を表にまとめます。
こう見るとやはり、NASDAQの成長性がものすごいですね。
2024年年初来 | 2020年以来 | 2010年以来 | 1990年以来 | |
日経平均 | 16.61% | 65.99% | 264.85% | -0.55% |
TOPIX | 12.28% | 58.56% | 196.39% | -2.88% |
S&P500 | 9.14% | 58.64% | 376.51% | 1454.97% |
NASDAQ | 9.37% | 98.06% | 922.85% | 8718.58% |
ダウ平均 | 3.40% | 37.01% | 284.56% | 1394.49% |
MSCI ACWI | 7.83% | 38.04% | 169.21% | – |
MSCI EMERGING | 3.50% | -3.18% | 6.50% | – |
どのインデックスが良いのか? S&P500?オルカン?
昨今、インデックス投資に関して、S&P500とオルカンどちらに投資すべきかの議論を聞くことがあります。
過去14年のパフォーマンスはS&P500のほうが良かったという結論です。
ただ、いまアメリカが強いあとで、次の一定期間はアメリカ以外がよくなるといった景気のサイクルがある可能性もあるから、過去データを見ているだけでは将来のことを結論することは難しいです。というか、それがわかるなら、みんな大金持ちになってます。。。
NASDAQが、大きな下落を3回も経験しながらも、素晴らしいパフォーマンスを示してきたことは、間違いありません。たまたまサイクルがよかったからと考えることもできるかもしれませんが、成長性の高い企業の比重が高いインデックスであるためと考えることもできると思います。
私は、インデックス投資はこれまでS&P500メインで行ってきましたが、本記事を書きながら、すこしNASDAQを混ぜても良いかなと思いました。
まとめ
改めてグラフ化してみることで、知っていたことを確認できたこともあり、いままで気が付かなかったことがはっきりわかったりもしました。
- バブル崩壊以降、34年間も日本株が低迷したこと。
- 同じ期間にアメリカ株は着実に値上がりを続けたこと。
- 2010年以来、新興国インデックスが低迷していること。
- NASDAQの値上がりはすさまじく、過去14年間で10倍、34年間で88倍になった!
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ぜひ合わせて読んできた抱けると嬉しいです!
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