【残り湯洗濯の倹約効果】お風呂の残り湯を洗濯に再利用は、いくら節約になる?

お風呂のお湯を、洗濯に再利用するのって、どのくらい倹約になるの?

お風呂の残り湯を洗濯に再利用するのは昔ながらの節水方法です。それ用にバスポンプという機械も広く売っています。
どのくらい家計の倹約になるのだろうと思ったので、調べてみました。

本記事では、最後は年間に何円くらい家計の倹約になるかを、水道料金ごとに表にまとめます。
具体的な倹約金額が結論として出ますので、お風呂の残り湯で洗濯することによる倹約効果が気になる方には、とても参考になると思います。

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調査の方針

調査の方針は、次のようにとても簡単。

  1. 1回の洗濯で再利用できる残り湯の量を見積る
  2. 1立方メートル(㎥、立米)あたりの上下水道代を調べる
  3. 1.と2.で調べた結果を掛け合わせれば、1回の洗濯で倹約できるお金が計算できる

1.も2.も、難しい調査ではないですが、地道な調査なことは確かです。

とくに2.で調べる水道代は、住んでいる地域ごとに大きく異なるため、本記事の最終結果は、さまざまな水道代に対しての節約効果を表にします。

再利用できる残り湯の量

お風呂の残り湯を全部再利用できるわけではない

再利用できる残り湯の量は、お風呂の容積ではなく、洗濯槽の大きさで決まります。

初めの洗濯の行程に残り湯を再利用するだけで、そのあとのすすぎには残り湯は使えません。

洗濯槽が満杯になるまでポンプしたあとにお風呂に余ったお湯は、再利用せずに捨てることになります。

再利用できる残り湯の量を見積もる

我が家の洗濯機を例に、話を進めます。

我が家の洗濯機は、Panasonic NA-FV55B1という縦置きの機種です。

この記事を書きながら思ったのですが、ドラム式で残り湯の再利用ができるのかどうかは私にはわかりません。ドラム式洗濯機を持っていたことがないので。

我が家の洗濯機は、標準的な大きさの洗濯機だと思います。

家族3人の日々の洗濯を1回で済ます程度の容量、メーカー仕様によると1回に洗える洗濯物の目安は5.5㎏です。

洗濯槽の大きさを測定したところ、直径40㎝×深さ40㎝くらい。

小学校の頃に習った円柱の体積の式を考えると、

  • 洗濯槽の容積=(底面の面積)×(高さ)=(3.14×半径×半径)×(高さ)=(3.14×20cm×20cm)×40cm=50240 cc =50.240 L

というわけで、洗濯槽の容積は約50リットルです。つまり、1回に再利用できる残り湯は50リットルほど。

本当は洗濯槽からこぼれるほどまでは水が入らないと思うと、もうちょっと水量はすくないのだろうし、4~5人家族の方は、もう少し大きい洗濯槽なのでしょう。

そう思うとざっくりした計算なことは注意しなくていけません。が、実際と比べて2倍もずれることはあまりないだろうと思います。

ところで、メーカー仕様では、1回の洗濯におよそ115リットルの水を使うと書いてあります。初めの洗いに50リットル使うという私の計算だと、すすぎのほうが少し多く水を使うことになります。

結構、直観的な予想とあっていると思います。

(我が家では、)水道料金は2か月ごとに請求されます。

2か月毎日残り湯を再利用れば、50リットル×60日=3,000リットル=3㎥(立方メートル)の水を節約する計算です。

1立方メートル(㎥)あたりの上下水道代を調べる

次に、1立方メートルあたりの水道代の単価を調べます。

まず我が家の例を考え、そのあとでいろいろな地域の違いを考えていきます。

水道料金の計算方法―従量料金―を理解する

ここでは、ちょっとだけ回り道をして、水道料金の計算方法をしっかり理解できるよう、説明します。

従量料金の計算方法を理解している方や、アバウトな理解でいいからサクッと結果だけ知りたい人は次の「倹約効果の計算に使う水道料金―我が家の例」に進んでください。

水道料金は、電気代と同じく「従量料金」という方式で月々、または2か月ごと使用量に基づき、計算されます。

ここでは、我が家の水道料の計算を例にしながら、従量料金を説明します。

我が家の水道代請求書の裏には、以下の計算表が載っています。たぶん、皆さんの水道代請求書にも同様の表がついているだろうと思います。

まず上水道を考えましょう。上水道については上の表を見ます。

我が家は共同住宅なので、上水道については、「共同住宅の共用水栓」の部分を見ます。

請求明細書(請求額も明示される表面、個人情報なので写真は示しません)には、水栓の口径と、請求期間、請求期間の水道使用量が㎥単位で明記されています。

我が家は20口径、2020年10-11月の我が家の水道使用量は63㎥で、水道料金は10,934円でした。この10,934円をどのように計算しているか、理解したいと思います。

  • 「共同住宅の共用水栓」→「20口径」→基本料金2,090円(請求期間=2か月に対して。1か月ごとではない)
  • はじめの20㎥は、1㎥あたり60.5円の単価で計算する
  • 20㎥使ってから使用量が40㎥になるまでの20㎥分は、1㎥あたり154円で計算する。
  • 40㎥使ってからあと、63㎥になるまでの23㎥は、1㎥あたり198円で計算する。

つまり、我が家の10-11月の水道料金の計算式は:

  • 基本料金2,090 +20㎥×60.5円/㎥ + 20㎥×154円/㎥ + 23㎥×198円/㎥ = 10,934円

下水料金のほうは、基本料金550円、使用料は上水と同じ量の63㎥ですから、

  • 基本料金550円 + 初めの40㎥×143円/㎥ + 次の23㎥×154円/㎥ = 9,812円

実際、我が家の該当期間の下水道代は9,812円でした。

このように従量料金というのは、はじめの20㎥までは安く、次の20㎥は少し高く、さらに使うとだんだん単価が上がるというふうに、使用量によって単価がだんだん上がるように設計されている料金体系です。

電気代も同じように、契約アンペアで基本料金が決まり、あとは使用料(キロワット時が単位)によって従量料金になっている場合が多いです。

普通のサービス業は、たくさん使ってくれるお得意さんに料金を割り引くものですが、電気ガス水道は、たくさん使う人に料金を上増しするような料金体系に作ってあります。

倹約効果の計算に使う水道料金の単価―我が家の例

「再利用できる残り湯の量を見積もる」での結論は、お風呂の残り湯による節水が2か月で3立方メートルくらいという計算でした。

2020年10~11月の我が家の水道使用量63㎥を、60㎥まで減らせたくらいの節水量が見込めます。

前節の表を読むと、ここで減らせたかもしれない水の単価は、

  • 上水道: 共同住宅→口径20㎜→40~80㎥→ 1㎥あたり 198円
  • 下水道: 40~200㎥→ 1立米あたり 154円

つまり、2か月で上水道は3㎥×198円/㎥=594円、下水道は3㎥×154円/㎥=462円。合計では1,056円ほど倹約できた計算です。

我が家の場合は、1年あたり6,336円くらいの倹約効果が期待できます。

使用水量による倹約効果の違い―我が家の地域の例

我が家の地域の料金表から、共同住宅の場合の、2か月あたりの水道使用量ごとの倹約効果をまとめたのが次の表です。

一番左の列が家庭の使用水量、一番右の列が年間の倹約効果です。

共同住宅の場合1回あたり365回あたり
2か月あたりの
使用量(㎥)
1回の
節水量(L)
水道料金
(円/20㎥)
水道料金
(円/㎥)
下水料金
(円/㎥)
水道代
(円)
下水道代
(円)
合計
(円)
水道代
(円)
下水道代
(円)
合計
(円)
20まで50121060.514337101,1042,6103,714
40まで50308015414387152,8112,6105,420
80まで503960198154108183,6142,8116,424
200まで504840242154128204,4172,8117,227
1000まで505720286165148235,2203,0118,231
1001以上506600330165178256,0233,0119,034

我が家は「80まで」の行で、前項での計算と少し数字が違うのは、前項では1年を360日として計算していたため。

もちろん大量に水を使う家ほど多くの倹約効果が出ますが、一般家庭で2か月に80㎥以上使う家は少なそうなのを思うと、この地域では倹約効果はせいぜい年間で6,500円くらいという結論です。

従量料金の変わり目をまたぐ場合は、計算が複雑になる

我が家の例は、2か月で63㎥使用する例で、残り湯利用による3㎥の節水により6,424円ほど倹約できるという結果でした。

2か月の水道使用量が20~40㎥の間の家庭なら、年間での倹約効果は、5,420円ほどという計算になります。我が家と1,000円くらいの違いです。

使用量が40~43㎥の場合は、減った3㎥の水量は、一部が安い単価、1一部が高い単価になっているため、もちろん計算がすこし複雑になります。ただ、その複雑な計算を頑張って行っても、せいぜい1,000円以内の違いです。

水道代の地域差を考慮に入れる

地域ごとの上水道代の違い―同じ日本なのに最大8倍の格差!

水道を民営化すると、水道代が高騰してしまうかもしれないという議論があるのは、知っていました。
でも、民営化する前の現在は、全国あまり違いなく、安く水が使えるのだと思ってました。

今回調べてみて知ったことは、同じ日本国内なのに水道代が地域によってとても大きく違うということです。
以下のサイトには、全国の水道料が高い・安い市町村のランキングが載っています。同じ日本国内で水道料金に、実に8倍もの開きがあるとのことです。

水道料金ランキング!1345市町村の順位を公開、6,000円の差も
水道料金に地域差があるって知っていましたか? ちなみに、水と暮らす編集部の私は知りませんでした。 しかも、ちょっとの差じゃないのです。水道料金が一番安い地域と高い地域の料金差は、なんと1ヶ月で約6,000円!

上記リンクは2021年の記事です。
本記事を書いた2020年末には、suumoのインターネット記事(https://suumo.jp/journal/2016/03/07/107101/)に2016年の調査結果がまとまっていましたが、その記事でも8倍の開きがレポートされていました。
現在は、この記事は削除されてしまったようです。

全国の水道料金の分布

さて、全国の1,346水道事業体での料金の分布は、公益社団法人 日本水道協会の以下のページで見ることができます。

水道資料室:日本の水道の現状:公益社団法人 日本水道協会【JWWA】

このページからデータをもらって作ったのが次図。上水道の料金の分布です。

ほとんどの地域で、20㎥当たりの水道料金は、2,000円~4,500円の範囲に入ることが見て取れます。

ただし、1,000円以下や、6,000円以上の地域もごく一部あることがわかります。

我が家は、1㎥あたり198円、20㎥当たりに直すと3,960円くらいなので、一般的ななかではちょっと高めの料金設定のようです。

皆さんのお住いの地域の水道代は、いかがだったでしょうか。

下水道代の地域差について

上水道代の地域差が大きいことはわかりましたが、下水道代については地域格差を問題にしたニュース等はとくに見つかりませんでした。

次節では、私が住んでいる地域での下水道代を全国一律に当てはめて、お風呂の残り湯で洗濯することの倹約効果を試算します。

結論―お風呂の残り湯で洗濯することの倹約効果

全国の水道料金が20㎥あたり2,000円~4,500円の地域が多いことがわかりました。

この範囲をカバーするようにいろいろな水道料金を仮定し(2,3列目)てみて、お風呂の残り湯を洗濯に再利用することの1年あたりの倹約効果(最右列)をまとめたのが、次表です。

ただし、下水道代は地域によってあまりかわらないことを仮定し、我が家の下水道代を一律に仮定しました。

1回あたり365回あたり
1回の
節水量(L)
水道料金
(円/20㎥)
水道料金
(円/㎥)
下水料金
(円/㎥)
水道代
(円)
下水道代
(円)
合計
(円)
水道代
(円)
下水道代
(円)
合計
(円)
5010005015438109132,8113,723
50200010015458131,8252,8114,636
50250012515468142,2812,8115,092
50300015015488152,7382,8115,548
504000200154108183,6502,8116,461
505000250154138204,5632,8117,373
506000300154158235,4752,8118,286

多くの地域で、予想できる倹約金額は、年間4,500~7,000円程度だということが、結論としてわかりました。

ポンプを動かす電気代はいくらくらい?

結論的には、電気代は無視できるくらい少ないです。ここでは、それを計算して確かめます。

本記事の最後に、お風呂から洗濯機へ水を導くバスポンプを一種類だけ、商品リンクを載せます。

この機種の仕様は、消費電力は26.7W(ワット)、流量は8.5L/分です。たぶん、機種が変わっても、同じようなものと思います。

50リットルを洗濯機に移すのにかかる時間は、50/8.5=5.9分=約0.1時間。

消費電力は、26.7W×0.1時間=2.67W時=0.00267kW時。

電気代は1kW時あたり25円くらいですので、1回あたりの電気代は、25×0.00267=0.069円。

365日毎日使ったとして、365×0.069=25円くらい。

バスポンプを動かす電気代は、無視できるくらい少ない額です。

まとめ

倹約効果についてのまとめ

お風呂の残り湯を洗濯に再利用することで、いくらくらい倹約になるのかを、詳しく試算してみました。

  • 残り湯再利用による節水量は洗濯槽の大きさによる。だいたい50L程度。
  • 全国で、水道代は地域差が大きく、最大8倍も格差があることがわかりました。
  • 多くの地域で、水道代は20㎥あたり2,000~4,500円。
  • 下水道の使用量が地域格差が大きいとの話は聞かなかったので、下水料金は全国一律に154円/㎥を仮定。
  • バスポンプの電気代は、年間25円ほど。無視できる。

さまざまな水道代を仮定して年間の倹約金額をまとめた表は、前々節の「結論」にあります。

多くの地域で、残り湯の洗濯での再利用による倹約効果は、年間7,000円以内くらいというのが結論です。

我が家の考え

我が家の水道代を考えると、年間6,400円ほどの倹約になるという結論でした。そこそこ大きいと思います。

ただ、水をお風呂から洗濯機にポンプするのに5分間待たなくてはいけません。

毎日の洗濯のことですから、これは結構ストレスになりそう。しかも、ポンプをスタートしたあとで、洗濯機をスタートするのを忘れて一日過ごしてしまいそう。

というわけで、我が家ではいまのところ、残り湯の再利用は見合わせています。

バスポンプ商品へのリンク

我が家ではいまのところ、バスポンプの購入は見合わせています。
ですので、以下のものは、記事を書くための調べごとに参考にしただけ。

タイマー付きで自動で止まるようなので、洗濯機が溢れる心配があまりなさそうなのがよいです。
が、なにしろ自分で使ったことがあるわけでないので、とくにお勧めするわけではありません。


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