アマゾン・プライム、ネットフリックスで見る投資・金融の映画・番組6選

金融映画を見ることは楽しみながら勉強にもなるので、投資の勉強をしている方にはおすすめです。

本記事では、私が最近アマゾン・プライムやネットフリックスで見たなかで特におすすめな金融映画を6本、紹介します。
とくに面白かった映画に関しては、紹介というより結構詳しくレビューしてしまってますが、ネタバレはないように書きました。

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投資の勉強をすると、投資・金融映画が何倍もおもしろくなる

最近私は、本を読んだりして投資の勉強をしているので、勉強する前に見た時と比べて、投資や金融の映画を、強い興味を持って見ることができるようになりました。
最近、アマゾン・プライムやネットフリックスで見た投資・金融の勉強になる映画・番組を6本紹介します。

後味が悪い映画になりがちだし、もちろん好き嫌いもあるでしょう。それでも、投資を勉強している方はきっと、ものすごくおもしろく見ることができると思います。紹介する映画には、私の個人的感想に基づいて、おすすめ度も付けました。

「マネーショート 華麗なる大逆転」―リーマンショックをさまざまな視点から理解できる力作

おすすめ度★★★★★
勉強になる度★★★★★
エンタメ性★★★★★
リーマン・ブラザーズが入居していたタイムズ・スクエア

その後のリーマン・ショックにつながっていくサブプライム住宅ローン破綻を扱った映画。

投資をテーマに製作された映画のなかでも、とくに見ごたえがある一本です。

アダム・マッケイ監督。クリスチャン・ベール、ライアン・ゴスリング、スティーブ・カレル、ブラット・ピット出演。2015年公開。

投資・金融界がいろいろな視点で語られる

全米が住宅ブームに沸く中、サブプライム破綻を予見し、逆張りに賭けた3者のファンドや投資家チームたちの、三者三様の不安と焦燥を描く力作。

投資に興味がある人には、絶対におすすめです。

主要登場人物は、実在の人物をモデルに作られているとのこと。

  • 住宅ローン破綻を確信し、顧客の反対を押し切ってバブル経済に逆張りするファンドマネージャー、マイケル・バリー。自分の判断だけを信じ、サブプライム破綻までの2年の間、重圧と闘い続ける孤独な姿には、投資で勝利することはこんなに厳しいものなのかと思い知らされます。
  • ウォール街の巨大金融機関は、こぞって低所得者向けの住宅ローンを複雑怪奇な商品(CDO,債務担保債権)に作り上げ、格付け機関もグルになってこの危険な金融商品を一般投資家に売りさばく。正義感の強いマネージャー率いるファンドも、金融界に鉄槌を下すべく逆張りに乗り出す。
  • 一攫千金を目指して逆張りに乗り出す個人投資家のチーム。彼らも、アメリカ金融の凋落に賭けていることを自覚すると、近づいた勝利を無邪気に喜ぶことができなくなっていく。

私たち一般庶民からみると、どれも大金持ちだけれど、彼らもウォール街の巨大金融機関の前にはあまりにも無力で、そんな姿に共感しながら見ることができます。

なにより3者の視点の違いから、金融のいろいろな側面が見えるのがとても勉強になります。

実在のファンド・マネージャー、マイケル・バリー

クリスチャン・ベールが怪演したマイケル・バリーは、実在の人物です。

映画に出て来る彼の孤独な姿が、ハワード・マークス著「投資で一番大切な20の教え」に、成功する投資は居心地が悪いものであるべき、と書いてあったことに重なります。

2020年年末ごろにバリーは、テスラ株を空売りをしているそうです。テスラ株価がバブルになっているとのことで、とても気になるコメントです。

本記事を書いたのは2021年初頭でしたが、2021年夏の現在、バリーは米国投資界で一番の話題の人物です。

2021年春に、テスラ株とビットコインの下落を予言し、言い当てた後で、現在は米国株がバブルの状況になっていると警鐘を鳴らしています。
米国株式市場はバブルなのか⁉日本株はどうなる⁉どう対処する⁉」という別記事にまとめてみましたので、合わせてお楽しみください。

(2021年夏追記)

映画の原題「ザ・ビッグ・ショート(the Big Short)」の意味

邦題は「マネー・ショート」で、英語の意味としては、”お金が足りない”ということになると思います。この場合の「ショート」は、足りないと解釈するのが普通です。

一方で、原題は「ザ・ビッグ・ショート(The Big Short)」です。
投資では、「ショート・ポジション(short position)」は「空売り」のことです。だから、製作者たちの意図としては、”大規模な空売り”ということだったのだと思います。

邦題も、「ビッグ・ショート」のままではだめだったのかな、と思ったりしました。

「インサイド・ジョブ」―金融業界の悪徳を暴くドキュメンタリー

おすすめ度★★★★★
勉強になる度★★★★★
エンタメ性★★☆☆

リーマンショックを引き起しながら自分たちだけ大儲けし、だれも責任を取らないアメリカの政財界の強欲と不道徳を問う2010年発表のドキュメンタリー映画。アカデミー長編ドキュメンタリー賞受賞。

チャールズ・ファーガソン監督。マット・デイモン(ナレーション)出演。2010年公開。

リーマンショックが起こった背景やその裏に潜む金融業界の悪意と不道徳を暴き出すドキュメンタリー映画。
以下のようなショッキングな事実が、アメリカ議会の証人喚問の映像や、金融関係者たちへのインタビューを通じて暴かれます。

  • 1990年代からの無責任な規制緩和が2008年のリーマンショックを引き起こす下地を作った
  • 大手投資銀行が、その後暴落するCDO(債務担保証券)を顧客に売りながら、同時にCDOの暴落を見越して空売りしていた
  • 格付け機関が、信用度が低いはずのCDOに高い格付けを与えていたのは、投資銀行の意向を受けてだった疑いがある
  • 多くの一般市民が財産や年金資金を失い家を追われた中で、会社を潰したCEOや取締役たちが巨額の退職金を得たこと
  • 金融当局や政府の担当高官が投資銀行に天下り、巨額の役員報酬を得る癒着構造
  • リーマンショックに責任がある金融界の指導者たちが、だれも罪に問われることなく、権力の座に居続けていること

格付け会社がCDOに高格付けを与えていたことはリーマンショックを引き起こした重要な要因です。本当に危険性に気が付かなかったからと解釈する場合もあると思いますが、そこに悪意があった疑惑を強く打ち出すなど、だいぶ踏み込んだ内容でとても興味深い映画です。
いまでもBloombergの紙面をにぎわす元財務長官、元FRB議長、現ECB議長や著名投資家のインタビューや議会証言が次々と映し出されるのも、面白く見れます。

「イート・ザ・リッチ ~ゲームストップを救え!~」―個人投資家たちが相場を支配した一部始終を解説するドキュメンタリー

おすすめ度★★★
勉強になる度★★★★
エンタメ性★★☆☆

インターネット掲示板に集結した個人投資家たちが経営不振企業の株価を吊り上げ、ヘッジファンドに大打撃を与えた2021年の「GameStopのショートスクイーズ」事件を深く詳しく解説するネットフリックス・ドキュメンタリー。30~40分の番組3本のシリーズ構成。

GameStopは、アメリカのショッピングモールに店舗を構えゲームカセットを売買していた企業です。ダウンロードゲームが流通する中で、業績が悪化し株価も下がり続けていました。そんな中で、インターネット掲示板(RedditのWallStreetsBets版)に集結した個人投資家たちが呼びかけ、GameStopの株価を暴騰させました。確実な株価下落を見込んで空売りを仕掛けていたヘッジファンドに莫大な損害を与えた「GameStopショートスクイーズ」は、圧倒的優位にある機関投資家に個人投資家が初めて大打撃を与えた事件として注目を集めました。
本作は、当時のSNS映像や関係者のインタビューを交えながら、事件の詳細を解説します。

  • WallStreetBets版でどのような議論が行われていたか
  • 投資家たちに熱狂が伝わり株価暴騰に至った経緯
  • 突然GameStop株取引を制限した投資アプリと、巨大金融機関の関与の疑惑
  • 熱狂の後、富を得た者、失った者

当時のGameStopの株価を見返すと、2021年1月初めに4ドル台だった株価は1月下旬に100ドルを超える暴騰を果たしています。時間外取引では、500ドルを超えていました。つまり、1か月以内に100倍株を達成!!すごいチャンスに見えてしまうけど、損した人もたくさんいたのかもしれませんね。

出典:TradingView

2021年1月に起こった「GameStopショートスクイーズ」は、私もとても衝撃を受けた事件です。概要は知っていましたが、この映画で初めて知った詳細も多く、とても勉強になりました。

「リーマン・ブラザーズ 最後の4日間」―リーマン・ブラザーズ破綻直前数日間のアメリカ金融機関首脳たちの動き

おすすめ度★★★☆☆
勉強になる度★★★★
エンタメ性★★★☆☆

リーマンブラザーズが破綻する直前の数日間の米金融界の動きを描いたBBC製作のテレビ映画。

クレイグ・ワーナー監督。ジェームズ・クロムウェル、コーリイ・ジョンソン、ローラ・ブルック出演。2009年公開。

リーマンブラザーズ救済を賭けた、ヘンリー・ポールソン財務長官をはじめ、J.P.モルガン、バンク・オブ・アメリカ、メリル・リンチなど巨大金融資本首脳部の動き。それらを受けての、リーマンブラザーズのCEOリチャード・ファルドの焦燥が描かれています。

リーマンブラザーズが破綻する前に、こうした交渉がなされていたことを知らなかった方には、とても参考になる作品です。

会社の存続の危機に、夜通し不安と焦燥に苛まれるリーマンCEOの様子が印象的です。

「マージン・コール」―跳梁跋扈する金融業界関係者たちの人間臭さ

おすすめ度★★★☆☆
勉強になる度★★☆☆
エンタメ性★★★☆☆

リーマンショックの時代背景をモデルに作られたフィクション映画。

J.C.チャンダー監督。ケビン・スペイシー、ジェレミー・アイアンズ、ザカリー・クイント、ポール・ベタニー、デミ・ムーア出演。2011年公開。

ウォール街の投資銀行にて、大量に保有するサブプライム商品が暴落の危機にあることに、新入社員が気づく。
社員たちが解雇に恐れおののき、中堅社員同士も手柄を取り合いけん制しあう中、対応が検討される。タイムリミットが刻々と迫る中、人間臭い議論や駆け引きが夜通し続く。

金融界のショッキングなほどの人間臭さ、跳梁跋扈の様子がとても印象的な映画です。

「ハゲタカ」―日本の経済構造、中国の台頭と脅威を描き、見ごたえがあるフィクション作品

おすすめ度★★★
勉強になる度★★★☆☆
エンタメ性★★★★★

日本の製造業を代表する自動車会社が、中国共産党の息がかかったファンドに乗っ取られる危機が発生。
自動車会社は国内ファンドに協力を要請し、この動きに対抗する。

中国国家の潤沢な資金をバックにした買収に、日本企業は対抗できるのか。
大友啓史 監督。大森南朋、玉山鉄二、遠藤憲一、柴田恭兵 出演。2009年公開。

金融業界が製造業を支配する構造、派遣労働者の待遇、株主至上主義のグローバリズムに飲み込まれる大企業の経営者、生き馬の目を抜くファンド経営者の生き方、中国の台頭、企業の買収における駆け引きの汚さ。

金融や経済に関するいろいろな問題が出て来て、とてもおもしろく見ることができる金融映画です。
この映画も、リーマン・ショックの前後を背景にしています。

投資の勉強のこと

最近私は、ベンジャミン・グレアム「賢明なる投資家」やハワード・マークス「投資で一番大切な20の教え」を読みました。これらについてのレビュー記事も書きましたので、併せて読んでいただけるとうれしいです。

そんな風に投資の勉強をしているので、勉強する前に見た時と比べて、投資や金融の映画を、強い興味を持って見ることができるようになりました。

本当はマーティン・スコセッシ+レオナルド・ディカプリオの「ウルフ・オブ・ウォール・ストリート」なども大変見ごたえのある金融映画ですが、主人公の人物描写が主で投資・金融にはあまり焦点が当たっていないので、ここで紹介するのはやめることにしました。

まとめ

本記事では、楽しみながら投資・金融の理解を深められる6本の映画を紹介しました。

  1. 「マネーショート 華麗なる大逆転」
  2. 「インサイド・ジョブ」
  3. 「イート・ザ・リッチ ~ゲームストップを救え!~」
  4. 「リーマン・ブラザーズ 最後の4日間」
  5. 「マージン・コール」
  6. 「ハゲタカ」

「マネーショート」は大ヒット映画ですし、予備知識があまりなくても楽しめる映画です。
でも、少し投資を勉強した時点で見ると大変勉強にもなるし、深く楽しめる映画です。投資を勉強している方には、絶対にお薦めな一本です!

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編集履歴
  • 2021年7月 「4選」としてアップロード。
  • 2024年2月 「インサイド・ジョブ」、「イート・ザ・リッチ ~ゲームストップを救え!~」を追加。

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